追い上げ投資の基本マネジメント法である馬法の方程式を解説していこう。

馬法の方程式とは?

馬法の方程式は、今までの損失金を回収し、かつ利益を計上するための資金マネジメント法だ。外れ続けても、1度の的中で今までの損失金を回収し、利益を計上できる画期的な手法で、今はなき日本競馬投資協会が提唱した。
同じような資金マネジメント法に「損失金回収法」があるが、こちらは損失金を回収するだけの方法論で、それに「利益を計上」を加えたのが馬法の方程式だ。なお、馬法の方程式は1点買いの追い上げ投資用の資金マネジメント法だ。

計算式と注意点

馬法の方程式

投資金=今までの損失金×1.6÷(オッズー1)

たったこれだけの計算式で投資金を算出することが可能だ。特に解説はいらないだろう。
これで算出された金額は、もちろん100円単位にはならない。計算結果が1030円だったときは、10円未満を切り上げて1100円を投資することになる。

また、×1.6の部分は係数と呼ばれている。
この係数を×1.0にすると損失金回収法と同じになるので、損失金は回収できるが利益は計上されなくなる。×1.3にすると投資金の膨らみは抑えられるが、その分利益は減少することになる。

また、損失金がない状態ではこの式を使うことが出来ない。
したがって、最初のレースの投資金は自分で決めることになる。
もっとも安全なのは、最初のレースは100円にしておくこと。最初から1000円などを投じてしまうと、2レース目以降の投資金の上昇スピードが上がってしまい、リスクが高まってしまうので注意が必要だ。

実践例

では例をご覧いただこう。

2023年4月2日の阪神競馬において、第1レースから単勝2番人気を追い上げた設定で、損失金回収法を実践してみる。なお前提として、第1レースを購入する時点で、損失金が3000円あるとする。

・第1レース
 損失金は3000円、オッズは4.0倍
 投資金は3000×1.6÷(4.0-1)=1600円
 結果はハズレたため、累積損失金は4600円となる。

・第2レース
 損失金は4600円、オッズは3.2倍
 投資金は4600×1.6÷(3.2ー1)≒3345円
 10円単位を切り上げて、投資金は3400円。
 結果はハズレたため、累積損失金は8000円

・第3レース
 損失金は8000円、オッズは2.9倍
 投資金は8000×1.6÷(2.9-1)≒6736円
 10円単位を切り上げて、投資金は6800円。
 結果はハズレたため、累積損失金は14800円

・第4レース
 損失金は14800円、オッズは4.4倍
 投資金は14800円×1.6÷(4.4-1)≒6964円
 10円単位を切り上げて、投資金は7000円
 結果は的中。払戻金は30800円

さて、第4レース終了時点で
損失金+総投資金は21800円
払戻金は30800円
トータル収支は+9000円

このように今までの損失金を全て回収し、利益を計上することが出来た。

数学的な根拠

この計算式は果たして本当に最善なのだろうか?それを数学的に解説していこう。
的中した時点で損失金を回収し利益を計上するには、以下のような式が成り立つことを意味する。

次のレースの払戻金-次のレースの投資金=今までの損失金+利益

払戻金というのは、次のレースの投資金×オッズで算出されるから

次のレースの投資金×オッズー次のレースの投資金=今までの損失金

左辺を「次のレースの投資金」でまとめると

次のレースの投資金÷(オッズー1)=今までの損失金+利益

右辺について、利益を損失金の60%に設定すれば、

次のレースの投資金÷(オッズー1)=今までの損失金×1.6

となり、両辺をオッズー1で割れば

次のレースの投資金=今までの損失金×1.6÷(オッズー1)

となり、馬法の方程式を導出できる。
この算出過程を見ればわかるとおり、係数×1.6は「今までの損失金に対して、的中した際には160%の利益を計上する」という意味合いだ。