一般の競馬ファンは「どの馬が勝つか」とか「どの馬をヒモに抑えるべきか」という点に着目しがちだ。
つまり、「何を買うか」ということに予想行為の9割を費やしているだろう。確かに、的中しなければ儲けることは出来ないから、それが間違っているとはいえない。

しかし、実はそれ以上に大切なことは「どう買うか」「いくら投資するか」ということなのだ。

資金マネジメント理論の基礎

資金マネジメント理論とは、ざっくり言えばお金の使い方を考える理論だ。
非常に奥が深い理論なので、ここだけのスペースで語ることは出来ないが、基本となる考え方は的中したときに最もお金を投資していれば、収支はプラスになるはずだということだ。

例えば、朝から単勝オッズが5倍台の馬の単勝を狙い続けたとしよう。
仮に以下のような結果になったとする。

第1レースに1000円を投資してハズレ
第2レースに300円を投資してハズレ
第3レースに100円を投資して的中

このとき、投資は1400円、払戻金は500円となり、収支はマイナス900円となる。
なぜ的中したのにマイナス収支になってしまったのか。それは、的中したレースに投資したお金が少ないからだ。

では、投資金を徐々に増やしていけばどうなるか。

第1レースに100円を投資してハズレ
第2レースに300円を投資してハズレ
第3レースに1000円を投資して的中

このとき、投資金は同じ1400円だが、払戻金は5000円となり、収支はプラス3600円となる。
的中したレースへの投資金が最も多いため、トータル収支をプラスにすることが出来たのだ。

必勝法・マーチンゲールの法則

投資を語る上で欠かせないのが、マーチンゲールの法則だ。
この法則を活用すれば、先ほど説明した「的中した時に、最もお金を投資している」という状況を簡単に作り出すことが出来る。
ほとんど頭を使うことなく、儲かってしまうこの法則を紹介しよう。

マーチンゲールの法則

最初に買った馬券が外れたら、次のレースにその倍の金額を賭ける。
それでも外れたら、さらに倍の金額を賭ける。

ルールはこれだけ。
これを実践するだけで、的中した時点で必ず儲かってしまう驚異の法則だ。
しかし、オッズが2.0倍以上でなければならないという条件はある。

マーチンゲールの法則の欠点

確かにこの法則は、的中した時点で必ずプラス収支になるので、必勝法だといえる。
しかし、果たしてこれは実践的な方法と言えるだろうか。

例えば、第1レースに5000円を投資した場合を考えてみよう。

レース投資金
第1レース5000円
第2レース10000円
第3レース20000円
第4レース40000円
第5レース80000円
第6レース160000円
第7レース320000円
第8レース640000円
第9レース1280000円
第10レース2560000円
第11レース5120000円
第12レース10240000円

最後まで的中しなかった場合、1日で2000万円の資金が必要になる。
さすがに、当たれば必ず儲かるとは言っても、途中で投資を中断せざるを得ないだろう。

つまり、マーチンゲールの法則は億万長者でないと実践出来ない。つまり、机上の空論なのだ。

投資金を上昇を抑えつつ利益を出す

マーチンゲールの法則の”投資金が膨らみすぎる”という欠点をクリアしつつ、”当たったときに必ず儲かる”というメリットを維持する方法はあるのか。

それを数学的に解明する理論が資金マネジメント理論だ。