断層の数でレース傾向が分かる

今までの記事では、断層が上位人気にある場合や下位人気にある場合で、レース傾向がどう変わるかを見てきた。今回は、断層の数がレース傾向にどう影響しているか?を分析していこう。

16頭立て以上に限定して分析する

議論を分かりやすくするために、16頭立て以上に限定して分析していくことにする。なお、断層の定義は以下のとおりだ。

16頭立て以上の断層の定義

オッズ比率が1.8以上

オッズ比率については、以下のページで解説しているのでご覧いただきたい。

断層の数とは

今回の記事のテーマは、断層の数である。まず以下の例を見てほしい。

これは、2023年5月27日 東京 第9レースの単勝人気順オッズだ。先ほどの断層の定義によると、オッズ比率が1.8倍以上あれば、その単勝人気間で断層があるという風になっていた。このレースではどうだろうか。

最もオッズ比率が開いているのは、単勝13番人気と単勝14番人気だが、これらのオッズ比率を計算してみると以下のようになる。

142.5÷87.4≒1.63

つまり、このレースはオッズ比率が1.8倍以上となるものは存在せず、つまり断層がない状態であることが分かる。なおこのレースは、単勝16番人気馬が1着になり、3連単で380万を超える大波乱になった。

では続いて、10年以上も前のレースで恐縮だが、2012年6月30日 中京競馬 第7レースの単勝人気順オッズを見ていただきたい。

このレースは、先ほどの「断層ゼロレース」とはうってかわって、断層だらけのレースなのである。具体的な数値を述べていくと

  • 1人気と2人気=2.65
  • 2人気と3人気=2.07
  • 3人気と4人気=1.86
  • 7人気と8人気=1.97
  • 10人気と11人気=2.24
  • 11人気と12人気=2.04
  • 15人気と16人気=1.82

そう、断層が実に7個も存在するレースなのである。そしてこのレースはどう決着したかというと、単勝人気で表せば2→1→4で決着し、非常に順当な決着となっているのだ。

断層の数が意味するもの

先ほどの例を見て、断層ゼロレースは大波乱決着となり、断層だらけのレースは本命決着となっていた。もちろん、データ数が「1」なので偶然の可能性もあるが、断層がレース結果に影響を与えているのではないかと考えるのが自然だ。

断層が意味するものを極端に表現してしまえば

“断層以降の馬は要りませんよ”

ということに他ならない。つまり、断層ゼロレースは”全ての馬にチャンスがありますよ”を意味しているし、断層だらけのレースは”勝負圏内の馬は数頭しかいませんよ”ということになる。

では、これらをデータで示すことは出来るだろうか?

“断層の数”と”平均配当”の関係

波乱度を示す指標として分かりやすいのが平均配当だろう。そこで、断層の数別に、各式別の平均配当がいくらになっているかを調査した。結果は下表のとおりだ。

この表は16頭立て以上のレースの断層数別の平均配当だ。表の一番下「平均」とあるのは、16頭立て以上のレースにおける一般的な平均配当を示している。

この表を見ると、断層数「2」のとき、全ての式別において平均配当が「平均とほぼ同じ」になっていることが分かる。

そして断層数が「0」や「1」になったとき、平均配当が大幅に上昇していることが分かるはずだ。一方で、断層数が「5」以上のときは3連単の平均配当も10万円を下回っており、大波乱決着は考えにくいと思ったほうが良い。

つまり、断層数はレース傾向を知る手がかりとなるのだ。

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